狼ゴコロは愛のイロ


綺麗事だと笑う人もいるだろう。


口先だけだろうと呆れる人もいるだろう。



それでも構わない。



誰に何と言われても、俺は撤回するつもりはない。



彼女が望むなら、どんなことだってする。


彼女が震えるならいつまでも抱き締める。


彼女の身が危険なら身を挺して守る。




幸せな兄さんの家庭に、僅かな憧れを抱いては、自分に呆れていた時。



俺の目の前に、君は現われた。



そして、プロポーズを受け入れてくれた。



僅かな憧れが、憧れ以上の幸せな現実に変わったんだ。


だから、誰にも今の俺たちの邪魔はさせない。



「フン、まぁ精々捨てられないように頑張ってください」





吐き捨てるように言うと、悔しそうに表情を歪めながら彼は去っていった。




はぁ・・・これで今後も玖美に近づかなければいいんだが。



「雅・・・」


「ん?」



顔を赤らめる玖美の視線を辿ると

そこには、遠巻きではあるが大勢の野次馬がいた。




「とっても嬉しかったんだけど、そろそろ戻ったほうが・・・」


「あ、あぁ。そうだな」




< 100 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop