狼ゴコロは愛のイロ
綺麗事だと笑う人もいるだろう。
口先だけだろうと呆れる人もいるだろう。
それでも構わない。
誰に何と言われても、俺は撤回するつもりはない。
彼女が望むなら、どんなことだってする。
彼女が震えるならいつまでも抱き締める。
彼女の身が危険なら身を挺して守る。
幸せな兄さんの家庭に、僅かな憧れを抱いては、自分に呆れていた時。
俺の目の前に、君は現われた。
そして、プロポーズを受け入れてくれた。
僅かな憧れが、憧れ以上の幸せな現実に変わったんだ。
だから、誰にも今の俺たちの邪魔はさせない。
「フン、まぁ精々捨てられないように頑張ってください」
吐き捨てるように言うと、悔しそうに表情を歪めながら彼は去っていった。
はぁ・・・これで今後も玖美に近づかなければいいんだが。
「雅・・・」
「ん?」
顔を赤らめる玖美の視線を辿ると
そこには、遠巻きではあるが大勢の野次馬がいた。
「とっても嬉しかったんだけど、そろそろ戻ったほうが・・・」
「あ、あぁ。そうだな」