狼ゴコロは愛のイロ
「おそらくその女性が、佐藤の部屋に出入りしていた女性だろう」
「うん、そうだね。・・・でもダメ、もう2年前だしあの時誰がいたかも覚えてないの」
思わず頭を抱えるあたしに、雅は手を差し出す。
彼を見ると、微笑んでいた。
「雅・・・・・・」
手を握ると、ゆっくりと握り返される。
そうだ、今日もこの手に助けられた。
「大丈夫。何があっても俺が玖美を守る。信じて?」
「うん。・・・今日もありがとう。格好よかったよ」
「ハハ、面と向かって言われると照れるなぁ」
「ふふ。でも、鎌田さんには正直困ってる」
「ふー・・・結婚してからずっとああなの?」
確かに、結婚してからずっと嫌なことばかり言われてきた。
でも、今日はいつも以上だったと思うんだよねぇ。
それに、あの時会議室に追い掛けてきたのも・・・
「・・・どっちにしても、あいつにも気を付けたほうが良いよ」
「うん、のどかにも言われた。それに今日あれだけ言ってくれたから大丈夫じゃない?」
「だといいんだけどなぁ。人妻狙うやつにライオンてのはちょっと格好良すぎたな」
ため息を吐く雅に、あたしは温かい手のぬくもりを感じながら、小さく笑った。