狼ゴコロは愛のイロ


「おそらくその女性が、佐藤の部屋に出入りしていた女性だろう」


「うん、そうだね。・・・でもダメ、もう2年前だしあの時誰がいたかも覚えてないの」



思わず頭を抱えるあたしに、雅は手を差し出す。



彼を見ると、微笑んでいた。



「雅・・・・・・」



手を握ると、ゆっくりと握り返される。


そうだ、今日もこの手に助けられた。




「大丈夫。何があっても俺が玖美を守る。信じて?」

「うん。・・・今日もありがとう。格好よかったよ」


「ハハ、面と向かって言われると照れるなぁ」


「ふふ。でも、鎌田さんには正直困ってる」


「ふー・・・結婚してからずっとああなの?」



確かに、結婚してからずっと嫌なことばかり言われてきた。


でも、今日はいつも以上だったと思うんだよねぇ。


それに、あの時会議室に追い掛けてきたのも・・・




「・・・どっちにしても、あいつにも気を付けたほうが良いよ」


「うん、のどかにも言われた。それに今日あれだけ言ってくれたから大丈夫じゃない?」


「だといいんだけどなぁ。人妻狙うやつにライオンてのはちょっと格好良すぎたな」




ため息を吐く雅に、あたしは温かい手のぬくもりを感じながら、小さく笑った。




< 103 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop