狼ゴコロは愛のイロ
「もう、玖美ちゃんはもっと我が儘言っても良いぐらいよ」
ふわりと笑う絹笑さん。
絹笑さんの笑顔を見ると、張っていた気がふっとゆるむ。
史皇さんはきっと、この笑顔に惹かれたんだろうな。
「雅には、我が儘ばかりですよ。でもいつも全部受けとめてくれるんですよね」
「あらあら、ごちそうさま。まだまだ新婚ホヤホヤだものね」
「そんな・・・。でも絹笑さんも、史皇さんととっても仲が良くて理想です。あたしも何年たっても仲の良い夫婦でいたいです」
「玖美ちゃん達なら、素敵な夫婦になれるわよ。お互いを大切に思ってることが伝わってくるもの。・・・史皇は本当に昔から変わらないわ」
絹笑さんが、小さく笑ってそう言ったとき、玄関のチャイムが鳴った。
途端にドタドタっと玄関に向かって2人のちびっ子達は駆けていった。
一人残った末の椎果ちゃんは、部屋に入ってきて絹笑さんに抱っこをせがむ。
「椎果、おじさんのご帰還よ」
意味は分かってはいないだろうけど、気配でも感じたのか、この上なく嫌そうな顔をする椎果ちゃんに、あたしは笑った。