狼ゴコロは愛のイロ
ダンッと大きな音が響いた。
雅は幼いときから柔道やってたって聞いてたから、もし凶器を持っていたとしても心配ないとは思ってたけど
まさか、玄関で一本背負いを見るとは思わなかった・・・
でもおかげで、背中を打ち付けた彼は動けないらしく、弱々しく呻いていた。
「最初から、玖美を殺すつもりだったんですよね?」
「・・・・・え?」
「まずは誘拐のときの脅しのためだろうけど、その後は誘拐先で二人で死ぬ。計画はそうですよね?」
どうして雅がそこまで・・・。
「あなたには、女性の共犯者がいますよね。彼女が喋っているのを友人が聞いたんです」
「・・・クソ女・・・・・・・」
雅の話に悪態をつく彼。
「それから、さっき部屋を出ていったのは、俺の服を着た兄です」
「な!?」
「帽子を深く被っていたからわからなかったのでしょう。背格好もそれほど大きく変わりませんしね」
動けないと分かっていても、あたしを背中で守ってくれる雅。