狼ゴコロは愛のイロ


数日後―――――――・・・


「精神障害・・・?」


「あぁ・・・彼は、妄想と現実のボーダーラインがなくなり、玖美は自分を好いているという妄想を、現実に捉えてしまっていたんだ」


「だから、いくら言っても理解してくれなかったのね」


「うん。せっかく逮捕しても精神病を患っているから、行き先は留置所じゃなく病院だ」


「それでいいのよ。病気を治さないと、本当に罪を認めて償うことは出来ないもの」




あたしの言葉に雅は頷く。



「でも、まさか女性の共犯者が三谷さんだったなんて・・・」


「まったく心当たりなかったの?」


「うん。頭になかったわ。彼女とは部署が違うから」


確かに、あの例の秘書と会ったとき彼女もいたけど、それ以外まったく接点がなかったから、覚えてなかった。




「ハハ、真逆だな」


「・・・真逆?」


「彼女は玖美とは逆ってこと。君は社内ではマドンナ的存在。それが彼女は許せなかったらしい」


「え?でも彼女だって綺麗なのに・・・」


「それでも玖美には適わない。おまけに上司と不倫関係にあったそうだけど、玖美のせいで別れさせられたそうだ」




< 114 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop