狼ゴコロは愛のイロ
数日後―――――――・・・
「精神障害・・・?」
「あぁ・・・彼は、妄想と現実のボーダーラインがなくなり、玖美は自分を好いているという妄想を、現実に捉えてしまっていたんだ」
「だから、いくら言っても理解してくれなかったのね」
「うん。せっかく逮捕しても精神病を患っているから、行き先は留置所じゃなく病院だ」
「それでいいのよ。病気を治さないと、本当に罪を認めて償うことは出来ないもの」
あたしの言葉に雅は頷く。
「でも、まさか女性の共犯者が三谷さんだったなんて・・・」
「まったく心当たりなかったの?」
「うん。頭になかったわ。彼女とは部署が違うから」
確かに、あの例の秘書と会ったとき彼女もいたけど、それ以外まったく接点がなかったから、覚えてなかった。
「ハハ、真逆だな」
「・・・真逆?」
「彼女は玖美とは逆ってこと。君は社内ではマドンナ的存在。それが彼女は許せなかったらしい」
「え?でも彼女だって綺麗なのに・・・」
「それでも玖美には適わない。おまけに上司と不倫関係にあったそうだけど、玖美のせいで別れさせられたそうだ」