狼ゴコロは愛のイロ


「ちょ、ちょっと雅?!」


「きっとすごく怖かったんだろう?どうして俺に言わなかった?怒られると思った?怒るはずないだろう?逆に自分が情けないよ。君を守れなかったことに・・・」



どんどん一人でつっぱしる雅の唇に、あたしは思いっきりキスをした。



「ん?!」


「・・・もう、一人で勝手に突っ走らないで。あの時は不可抗力だったの」


「・・・・・・・・不可抗力?」


「そう。大人数でエレベーターに乗ったから、偶然あたしのお尻と壁に手が挟まれちゃったの。だから別に、あたしは辛い思いをしたわけでもないの」




そういうと、雅は心から安心した表情をした。



まったく、こんななら鎌田さんとあまり変わらないんじゃないかな?



でも、それはあたし限定だものね。



・・・・・・・・・今日は、あたしから誘おうかな?






「ねぇ、雅」


「ん?」


「・・・愛して?」




耳元で精一杯可愛く囁けば、彼が息を呑む音が聞こえた。



そして、あたしの首筋に温かい吐息がかかる。





「おうせのままに、奥さん」




二人の客の存在などなかったように、寝室のドアが閉まると同時に、あたししか知らない情熱的な彼が目を覚ました。



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