狼ゴコロは愛のイロ
「叔母様って、あのミステリアスな人ね」
「この茎に結び目を10秒で作りなさい、とか。あとは氷が溶けるまで舌の上で転がしなさいとか。俺にとっては、兄さんとどっちが早く出来るか競争して楽しんでただけだけどね」
「・・・・・でも、どうしてそんなことを?」
「叔母が言うには、未来の花嫁のためにキスの上手な紳士になりなさいってことだった」
あ、でも聞いたことがあるかも。
さくらんぼの茎を結べる人はキスが上手だって。
あたしが納得していると、雅が抱き締めてきた。
「信じてくれた?」
「うん。ごめんね。ただの嫉妬」
「嬉しいよ。でも嫉妬してもらえるような過去は俺にはないから」
雅は苦笑いするけど、あたしはそれが嬉しいよ。
「あたしは過去に何度か男の人と付き合ってきたけど、雅ぐらい、あたしを愛してくれる人はいなかった」
「玖美・・・。良かった伝わってて」
あたしの体に回る腕の力が強まる。
以前のあたしなら、これだけで、体が震えてた。
でも、雅が本当の愛をあたしにくれたから、あたしは少しずつ抜け出せたんだよ。
だから、今日、あなたにあたしの全部をあげます。