狼ゴコロは愛のイロ
駅に着いて、改札を通ると、あたし達は別れた。
「それじゃぁまた後でね」
「あぁ」
今は、女性専用車両に乗ってるから、痴漢の心配はない。
結婚する前までは、毎日一緒に乗って、雅があたしを守ってくれたけど。
―――・・・
――――――――――・・・
「座れないね・・・」
「うん」
「俺から離れないで。こっち」
出会ってから数日。
彼と一緒のおかげで痴漢には一度も合ってない。
手が伸びてきたら、振り払ってくれるから、あたしには届かない。
というか、多分彼が大きすぎて、壁と彼に挟まれてるあたしの存在に気付く人も少ないんだと思う。
いつも思うけど、本当に大きい。
体系的にはスリムだから高いと言ったほうがいいのかもしれないけど、肩幅も広いから・・・やっぱり大きい。
「苦しくない?」
ふいに聞こえる彼の声に顔を上げると、彼は大きな背中で、押してくる人を必死に支えていた。
「大丈夫。雅くんのおかげだよ。ありがとう」
「そ、そんなことないよ・・・」
「ううん。本当に助かってるの感謝してるんだよ」
そう言うと、彼は照れ臭そうに、視線をずらした。