狼ゴコロは愛のイロ
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「二人とも寝ちゃったね」
二人に毛布をかけて、ベランダにいる雅くんのところにきた。
「いいんじゃない?明日休みだし。龍一は俺が連れて帰るから」
「え、でももう時間が」
終電の時間はあとわずか。
「大丈夫。タクシー使うから」
「そっか・・・。雅くんは酔わないんだね」
「うん。酒は好きってわけじゃないんだけど、飲んでも飲んでも酔わないんだよね」
自分でも不思議だと呟く雅くん。
彼といると、こんなに安心するのはどうしてだろう?
こんなに温かい気持ちになるのはどうして?
「玖美ちゃん・・・」
「ん?」
「俺さ、こんな無愛想だし背が高いから、いっつも人に恐がられるんだよ・・・」
唐突に話しだす雅くん。
「でも、君はそんな顔俺に一度も見せなかった」
「そりゃぁ、雅くんはあたしを守ってくれたし・・・怖がるなんてしないよ」
「俺はそれが嬉しかった。今まで見かけだけで判断されて来た俺にとって、君は俺の内面を見てくれた。それが俺は嬉しくて仕方なかった」