狼ゴコロは愛のイロ


毎日後を付けられて、知らない間に撮られた写真がポストに入ってたり、物がなくなったり・・・



「それからあたし、男の人が信じられなくなったの。あたしの体しか見てないんじゃないかって。それに、背後に立たれることも体に触れられるのも怖くてたまらないの」



涙が次から次へとあふれてくる。



雅くんのことは信じたい。

でも、怖いの・・・




「玖美ちゃん・・・」



顔を両手で覆って俯いていると、ふと声をかけられた。



「俺の手、握れる?」


「・・・・・・・・」



差し出された手を、恐る恐る握手をするように握る。


でも、彼は握ってこない。



「俺も、握ってもいい?」


「・・・・・・・・うん」


「よかった」



そういうと、あまり見せない優しい笑顔を見せてくれてから、ふわりと握ってくれた。



「俺ね、こんなだから、今まで女性関係皆無だったんだ」


「え?」


「自分が惹かれる相手も今までいなかったんだよ。でも、やっと巡り会えたんだ。君に」



あたし?



「守りたいって思うし、愛しいって、君を見ていていつも思う。君が怖がるようなことはしない。それでもこうやって手に触れたいとき抱き締めたいときは、必ず確認を取る。それじゃぁダメかな?」



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