狼ゴコロは愛のイロ
雅の職場─────────・・・
「ねぇねぇ、一昨日の結婚式マジヤバくなかった?」
「確かに。だってどう見たって不釣り合いでしょ?」
「あれじゃぁ新婦さんが可哀想~」
雅の会社の女子トイレでは、3人組の女が一昨日の結婚式の話をしていた。
「だって披露宴の入場の時だってニコリともしてなかったよ」
「新婦さんに何か言われてもニヤッとしか笑わないしね。キモ~」
「でもあの新婦さんも考えもんよ?あたし怒られたし」
「まぁ、どこの妻でも旦那の悪口言われりゃ怒るでしょ。ナイスネーミングだと思うけどね~」
「“美女と野獣”ね。マジぴったりじゃん、皐」
「いやぁ、それほどでもないけど」
普段から雅の噂や悪口を言っているが、一昨日の結婚式があり、いつもの倍も話が盛り上がっていた。
「今日から愛妻弁当持ってきたりして~」
「うわぁ。あり得ない。ってか結婚事態マジ世紀の大事件並みでしょ」
「そうだよね。龍一先輩との会話を聞かなかったら誰も気付かないって!」
「狼があの美人新婦食べてるとこなんて、世界の終わりを想像するより難しいね」
「夕子の毒舌、今日も決まってんね」