狼ゴコロは愛のイロ
手を取りだそうと動かすせいで、痴漢されている時のことを思い出してしまう。
「ぅ、動かさ・・ないでくださいよ。気持ち悪いです」
「俺だって触りたくてやってるわけじゃないんだ!夜にでも旦那に消毒してもらえ」
消毒・・・って
「お、真っ赤だ真っ赤だ。お前以外と可愛いな」
「なっ!人口密度が高くて暑いんです」
もう、新村さんのせいで昨日の夜のこと思い出しちゃったよ。
やっとの思いでエレベーターから出ると、二人してため息をこぼした。
「悪かったな」
「いえ・・・不可抗力ですよね?」
「当たり前だ!俺にだって妻がいるんだからな」
左手の薬指に光る結婚指輪を見せ付けてくる。
2年前に結婚して、今は奥様は妊娠中らしい。
「お前みたいに美人ってわけじゃないが、俺はあいつじゃないと反応しないんだよ。よく覚えとけ!」
「反応されたら困ります。あたしだって旦那さま一筋ですから!」
「「フンッ」」
朝から旦那と妻の自慢て・・・。
新村さんとは新人の頃からこんな感じだった気がする。