狼ゴコロは愛のイロ
「何でこんなとこにいるんだ?」
「あ、今日はあたしも仕事終わるの遅くて、今帰ってきたの、それでポストを見てて・・・」
「そうだったんだ。お疲れさま・・・それは?」
あたしが持つ封筒を指差す雅。
「と、とりあえず、部屋に行こう?」
「うん・・・・?」
部屋番号を入力してあたし達は、エントランスの中に入っていった。
エレベーターの中でも彼の視線が気になったけど、何も言えなかった。
「・・・・・何があった?」
部屋に入ってすぐにリビングや他の部屋のカーテンを隙間なく閉める。
いつもは優しいけどあたしの態度を見て、真剣な表情になる雅。
テーブルの上に、ポストに入っていた封筒を置いた。
「さっきポストの中に入ってたもの。中身見て?」
黙って中身を取り出すと、雅は目を見開いてあたしを見た。
「玖美を狙ってか?」
「・・・・・・・・・多分」
経験上、そうとしか考えられない。
「だけど、全部二人で撮られてるな」
「うん。あたしだけとか、雅だけとかのはないの」
「普通こういうのは、狙っている奴だけを撮るんじゃ・・・」
「っ!!?」
封筒を逆さまにすると、最後の写真が出てきた。
でもそれは、それだけはあたしと雅の間をカッターで何度も切ったものだった。