狼ゴコロは愛のイロ
「雅・・・・・・」
怖い。
また始まった。
どうしてあたしの周りではこんなことばかり・・・
「玖美?」
顔を覆っている手を外すと、向かいにいた雅がいつのまにか隣にいた。
「抱き締めても、いいか?」
優しい表情と声に頷くと、大きな体に包まれた。
堰を切ったように涙がこぼれ落ちた。
「雅・・・怖い。あたし、怖いの・・・」
「大丈夫。今は、俺がいるよ。玖美を守るために、俺がいるんだよ」
「雅・・・・・っ・・・」
背中を優しくゆっくり撫でてくれる手が安心感をくれる。
「とりあえず、この写真は俺が持っておくよ。証拠になるからね」
「わかった・・・・・・」
「絶対に玖美を守る。だけど、俺だけだとやっぱり限界がある」
「うん・・・・・」
「だから、今回は助けを借りよう」
「助けを・・・借りる?」
「そう。あんまり頼みたくはないんだが・・・」
ため息を吐きながら雅は携帯を取り出した。