狼ゴコロは愛のイロ


翌日は、前日行っていた通り雅のご実家から送迎をしてくださる方が来て、あたし達はそれぞれの仕事場へ向かった。




「おはようございます、佐藤さん」


「あ、おはようございます、三上さん」



いつも通り挨拶を交わすと、あたしは違和感に気付いた。




「佐藤さん、あたしもう三上じゃなくて宗苑になったんです。これからはそれで呼んでいただけませんか?」


「え!?あ、ご結婚されたんですか?あ~それは失礼いたしまして・・・」


「いいえ。中々言う機会がなかったんですけど。これからもよろしくお願いしますね」


「はい、こちらこそ」



あたしよりも年上だけど、しっかし敬語を使ってくれるとても紳士的な方。



入社したての頃から、毎朝こうして挨拶を交わしている。




「旦那様はどんな方なんですか?」


「えぇと、一見するとすごく怖い印象を持たれるんですけど、本当はとっても優しくて誠実な人です。真剣な時と優しい時のギャップが大きくて可愛いし、意外に照れ屋さんだし・・・」



雅のことならたくさん自慢できるし、してしまうあたしを佐藤さんは目を点にして聞いていた。



< 47 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop