狼ゴコロは愛のイロ
翌日は、前日行っていた通り雅のご実家から送迎をしてくださる方が来て、あたし達はそれぞれの仕事場へ向かった。
「おはようございます、佐藤さん」
「あ、おはようございます、三上さん」
いつも通り挨拶を交わすと、あたしは違和感に気付いた。
「佐藤さん、あたしもう三上じゃなくて宗苑になったんです。これからはそれで呼んでいただけませんか?」
「え!?あ、ご結婚されたんですか?あ~それは失礼いたしまして・・・」
「いいえ。中々言う機会がなかったんですけど。これからもよろしくお願いしますね」
「はい、こちらこそ」
あたしよりも年上だけど、しっかし敬語を使ってくれるとても紳士的な方。
入社したての頃から、毎朝こうして挨拶を交わしている。
「旦那様はどんな方なんですか?」
「えぇと、一見するとすごく怖い印象を持たれるんですけど、本当はとっても優しくて誠実な人です。真剣な時と優しい時のギャップが大きくて可愛いし、意外に照れ屋さんだし・・・」
雅のことならたくさん自慢できるし、してしまうあたしを佐藤さんは目を点にして聞いていた。