狼ゴコロは愛のイロ


入念な化粧直しを終え、3人が自分の席に戻ると、噂の雅も出社してパソコンを立ち上げていた。



無愛想だとか、怖いだとか色々悪口を言われてはいるが、仕事は社内でもトップの成績をあげている。



上司からも仕事の出来ぶりから気に入られており、昇進も近いと噂される所謂エリートなのだ。




「はぁ、でも結婚してもまったく変わらないのね」


「ホントよ。ちょっと幸せオーラでも出ていれば、可愛げもあるのに」


「マジ奥さんに同情。・・・でも何か男性社員に話し掛けられるの多くない?」




友人である龍一以外、雅と深く関わったことのない男性社員が、何人も雅の席に来ては話をしている。



雅もまんざらではないようで。




「でも、あれ見え見えって感じじゃない?」


「え、なにが~?」


「あ、わかった。結婚式で美人奥さんを見て、雅に近づいてあわよくば奪い取るみたいな?」


「うわぁ略奪~?」




女ならではの妄想力を働かせ、悲劇の略奪愛で話は盛り上がった。





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