狼ゴコロは愛のイロ
自分のことを悪く言われるときよりも何倍も腹が立った。
あんな自分のことしか見えていない男なんかよりも、雅の方が何倍もずっと素敵な人間だ。
彼のことを悪く言うなんて許せなかった。
「玖美ちゃん、大丈夫?何か言われたの?」
「また鎌田?」
のどかや友達が心配してきてくれた。
「あたしにとっては、雅は一番信頼出来て愛してる存在なのに、どうして周りにはそれが分からないんだろう?」
「玖美・・・・」
結婚式をした時も、あたしを見る皆の眼差しには疑問の色が濃かった。
雅は「同僚は龍一だけでいい」って言っていたけど、ご両親が「同僚の方も全てお呼びしなさい」と言ったため、招待することになってしまった。
その人たちさえも、雅とあたしに驚きの目を向けていた。
その上隙を狙って、花嫁であるあたしを口説きに来る人まで出てきて、意味が分からなかった。
その時に聞いた会社での雅の立場に、あたしは憤りを感じた。
《同期の女からも男からも犬猿される奴。仕事しか出来ない男だよ》