狼ゴコロは愛のイロ
と思いながら箸を進めていると、横から卵焼きを取られた。



「お、うめぇ!宗苑の奥さんは料理も上手なんだな。お前、幸せだな」


「ホントかよ。つーかお前窮屈とか感じねぇのかよ」


「何で?」


「あんな美人な完璧な奥さんもらってよ、悪いことしたなとかさ」


「そうそう。それにお前そんなに長身なら、んな急がなくたってもっと他にいい女いただろう?実家も金持ちなんだろ?」


「おい、お前ら何言ってんだよ。コイツと玖美ちゃんはめっちゃくちゃラブラブでお似合いなんだぜ」




横からフォローを入れる龍一を睨みつつ、こいつ等が俺を呼んだ理由がわかった気がした。



言い回しは当然ストレートじゃないが、言葉の裏には『お前に彼女はもったいない』とはっきり示されている。




特別仲良くもなかったこいつらを結婚式に呼んだために、俺は妬まれているわけだ。



他人同然の自分達に、美人な玖美を見せつけるために呼んだんじゃないかと、そういうことを言いたいのだろう。



まぁ、そう捉えられても仕方ないだろう。



友達でもなければ、俺は陰口を言われるような立場だ。



それであんな美人な奥さんをもらえば、自分に自信のある男ならプライドが傷つけられるのだろう。



で、必死にフォローを入れるコイツはそうとは知らず、俺を連れてきたわけだ。


のどかちゃんも言っていたが、イケメンなのに、もったいないくらいバカだ。




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