狼ゴコロは愛のイロ
だが、龍一のフォローも虚しいものだ。
「俺達、まだ26、7歳だぜ。もっといろんな女見てぇとか思わねぇのかよ」
「そうそう。一人の女に絞るなんて難しいぜ。世の中には何万て女がいるんだからよ」
そう言って、俺たちの間に溝を作らせその隙に奪うとでも考えているんだろうか?
弁当の時の野次馬の男も大体そんなもんだろう。
俺に近づいて、なんとかその奥の玖美にも近付けないかとでも考えてるんだろう。
「俺には、何人もの女と関係を作ることの方が難しいと思うけどな」
「何でだよ。楽しいもんだぜ」
「そうだ。お前にも紹介してやるよ。美人な妻は主食で、息抜きとしてオカズも楽しまなきゃ」
俺に不倫をしろとでも言っているのか?
「っ!お、おいおいそんな怒んなよ」
「・・・そうだぜ。人生を楽しむ方法を1つ教えたまでだ」
俺は弁当をしまうと立ち上がり、こいつらを見下ろす。