狼ゴコロは愛のイロ


「それに、おまえらがどんなに邪魔しようと、こいつらは揺らがないぜ。そんだけ深い絆があるから、結婚したんだしな」




たまには、良いことも言う。



龍一のおかげで、こいつらもようやく落ち着いたらしい。




「式に呼んだために嫌な思いをさせたのなら謝る。悪かったな」




小さく頭を下げてから俺はその場を去ろうとしたとき、声が聞こえた。




「絆は本物だな。お前の奥さんも一緒だよ。お前しか見えてねぇらしい。・・・俺には分からねぇ」


「俺は、一人に絞ることが難しいというお前のほうが分からないよ」




たった一人に全身全霊で愛情を注ぐことがどうしてできないのか。



きっとまだ巡り合っていないのかもな。



無意識のうちに心動かされる存在に。








だが1つ間違ってる。



一緒じゃない。



俺の方がきっと、玖美を愛してる




< 59 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop