狼ゴコロは愛のイロ
「違うとは、言い切れない。でも可能性は低いと思う。ストーカーの考えることはまるで分からないが、身近にいるのに名前も変えないでこんなことはしないだろう」
「そっか。でも、自分でも用心する」
以前ストーカーに合った時も、あたしの不用心さがあったことも確かだし、まさか別れた元彼がストーカーをするなんてって思って油断もしてた。
だから、今回はそんなことがないように自分でも気をつけなくちゃ。
「おい!」
「いたっ!?」
突然、額を小突かれた。
額を抑えながら顔を上げると笑っている雅がいた。
「一人でどうかしようと思うんじゃないよ?」
「え?」
「今は、俺がいるだろ?こういう玖美のピンチのために俺がいるんだ。一人で背負い込まないで俺を頼って?」
「雅・・・・・」
「大丈夫。玖美のこと、守るから」
「うん、ありがとう」
見えない姿に怯えていたあの時のことは今でも鮮明に思い出せる。
いつも見られているという恐怖
電話に出れば無言の威圧が
チャイムが鳴れば、ドアの外に立っているんじゃないかと言う不安
そんな毎日の繰り返しだった。