狼ゴコロは愛のイロ
「どうしてこんなにステキなのに、皆には分からないんだろうね?」
ソファに座ると、小さく笑って雅も隣に座る。
「そう言ってくれるのは玖美だけだよ。でも、俺はそれでいい。目つきが悪いだとか、背が高くて見下ろされるのが不快だとか、狼とか何とか呼ばれて嫌な思いもたくさんしたけど」
「うん」
「こうして玖美に出会えた。この世で最も愛した女性には、俺は怯えられなかった。それだけで俺は十分だ」
いつも雅はあたしに愛されて嬉しいと言ってくれる。
自分の想いを押し付けることもないし、強引なこともしない。
どんなときだってあたしの意思を尊重してくれるんだ。
皆が恐いっていう目だって、あたしには優しい目にしか見えないし、高い身長はあたしを包んでくれる。
あたしにとって雅はどんな人よりも素敵な人。
と、せっかく感動していたのに、この人は空気を読んでくれなかった。
「そうだ、玖美はどうなんだよ」
「何が?」
「俺は、その、十分満足してるけど、玖美は?俺で満足してるの?」
「はっ!?そ、そんなこと聞かないでよ」
「何でだよ!?俺には聞いといて。俺結構毎回頑張ってんのに伝わってないのかよ」
「いやーーーー言わなくていいから!!」
「な、何で逃げんの?」
その後はひとしきり家の中で追いかけっこをしてから、結局捕まってしまった。
もう!あたしには違う意味で狼だよ~~!!