狼ゴコロは愛のイロ

「ねぇ、あれ鎌田さんじゃない?」



そそくさと帰る鎌田を見付け、のどか達は急いで戻ってきた。



「ちょっと、アイツ何しに来たの?」


「玖美ちゃん、鎌田さんと何話してたの?」


「え?あぁ、何か後ろ向きな言葉を言われた」



苦笑いする玖美に、のどか達は肩をすくめた。



以前から玖美に好意を持っていた鎌田は、女性社員からは避けられる存在だった。



見た目こそ良いものの、ナルシストで自分勝手なため、嫌がられていたのだ。




「でももうあたしも人妻になったから、対象外ね。今度は皆が気を付ける番よ!」


「いや、アイツの性格上、人妻の方が」


「燃えるかも・・・」


「はぁ、人のものになっても美女の悩みは尽きないか・・・」


「?・・・もう気にしないでご飯食べよう?あ、今頃あの人も食べてるかもしれない!」


「「「もしかしてお弁当、おそろいなの?!」」」


「え?あ、箱は色違いで、おかずとかは一緒だけど、あの人の方が愛がこもってるよ」


「へ、へぇ・・・。(いや、新婚はこうだよね。でも)」


「あ、あたしも早く相手見つけなきゃ(旦那さんを見てるから、どうしてこんなに入れ込めるのか分からない)」


「さ、食べよっか(玖美ちゃん、皆魂抜けたような顔になってる)」



幸せそうな新妻を見て、のどか以外は今日何度目かの盛大なため息を吐いた。



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