狼ゴコロは愛のイロ
「すみませんじゃなくて、ありがとうって言ってほしいな」と、笑顔で言ってくれる史皇さん。
あたしにまとわりついていた子ども達は、史皇さんの足に絡み付いている。
前に雅が言ってたことを思い出す。
《兄さん、小さい時から頭は悪かったけど友達はたくさんいたよ。顔だけじゃなくて性格も良いから、皆から好かれるんだ》
その通りだね。
「はい、ありがとうございます」
「そうそう。いつも笑顔でいた方がいいこともたくさんあるよ!絹笑みたいに」
人気者で、女性も選び放題だったらしい史皇さん。
でもやっぱり兄弟だよね。
年上で幼なじみの絹笑さん一筋だったという。
他の女の子には見向きもしないで絹笑さん一直線だったらしい。
雅があたしをまっすぐ愛してくれるように、史皇さんも絹笑さんをまっすぐ愛してるんだ。
《頭は悪いけど、女性を見る目は小さいながらにあったみたい。俺が物心つくときから絹ちゃんの後ろずっと追っ掛けてたから》