狼ゴコロは愛のイロ


「ただいま」



玄関から聞こえた待ち望んだ声。



「あ、帰ってきたわね」


「迎えに行ってきます」



二人にそう声をかけ玄関に向かうと、雅が靴を脱いでいた。




「おかえり、雅」


「あぁ、玖美。ただいま。大丈夫だった?会社で何もなかった?」


「うん。大丈夫。あれ以外は何も変なことなかったし」


「そっか。それならよかった」



安心したように笑う雅。


すると後ろから小さく



「笑った」



と声がした。


振り向くと、そこには2つの頭が縦に並んでいた。



「お母さん、お父さん!!おじちゃんが笑ったよ!!」



亮太くんと大輔くんは走って絹笑さんと史皇さんのところへ行ってしまった。



それを見てため息をつく雅。




「当たり前だろ。人間なんだから」


「恐がられてるんじゃない?」


「赤ん坊の時よりは近づくようになったんだけどなぁ」


「普段から笑えばいいのに」


「おかしくもないのに、笑ってられない」



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