狼ゴコロは愛のイロ
雅の職場─────────・・・
その頃、丁度雅もお昼の時間に入ったところだった。
いつもは社員食堂で龍一と食べているが、今日は
「うわぁ、やっぱり愛妻弁当だ」
「あの美人さんなら料理も完璧そう」
「うんうん。彼は仕事人としては完璧だけど、奥さんはなんか否の打ち所が無いっていうか」
「妬けちゃうけど、そんな感じだよね」
ヒソヒソと周りから言われながら雅は包まれている布を外し、お弁当箱を開けた。
すると隣から
「おお~!やっぱり玖美ちゃんは完璧な奥さんだな」
と龍一。
それを見た他の社員も覗きに来る。
「ヤバッ!冷食いっこもない」
「これ全部手作りか?朝からすごいなぁ」
「うぅっ。独り身には羨ましすぎる」
いつのまにか雅の席には人だかりが出来ていた。
今までの雅にはあり得ないことだったが、結婚をして一変してしまった。
そもそも、二人が結婚を決めたときも周囲の度胆を抜いていた。
結婚式を挙げるのには準備もあるため時間が掛かったが、二人は出会って半年で結婚を決めてしまった。