狼ゴコロは愛のイロ
「前回はこういうことされたの?」
「え、いいえ。前回はこんな言葉が書かれたカードはありませんでした。写真が送られてきたり無言電話など・・・」
「なんでそんなこと聞くんだよ」
「あぁ、ストーカー被害でよく聞くじゃないか。ストーカー被害の多くは再度同じストーカーから被害を受ける場合が多いって」
その瞬間一人の男の顔が浮かび上がった。
思い出すだけで眩暈がしそうだった。
「でも、彼は逮捕・・・あ・・・・」
もう、出所した?
ストーカー被害は立件が難しく、犯人は分かっていても逮捕されることは難しかった。
それでもあたしの場合は運よく彼から逃れることが出来た。
在学中の彼の逮捕は大学内に知れ渡った。
でも、それはもう5、6年も前のこと。
すでに出所しているはず。
だとしたら・・・・・・
「玖美?」
「キャッ!!」
咄嗟に振り払ってしまった雅の手。
「ごめんなさい。雅。違うの。今、あの人のこと考えてて・・・・その・・・」
どうしよう。あたし、何てこと・・・