狼ゴコロは愛のイロ


「雅、今日のところはここまでにしよう。玖美さんも疲れただろう」


「あぁ、ありがとう。これからも世話になるよ」


「いつでも頼ってこい。二人が来てくれると、子ども達も喜ぶし、あ、雅は喜ばないか」




ニヤッと笑う史皇さんに雅は口を真一文字にして拗ねた。



その会話に少しだけ気持ちも和らいで、あたし達は宗苑家を後にした。





―――――――――――――・・・



お風呂から上がってベッドで横になっていると、雅が寝室に入ってきた。



目が合うと、眉を垂れる彼に、胸が締め付けられる。



「雅、ごめんなさい。あたし、あなたのことが恐いわけじゃないの」



体を起こして、俯きがちにそう言うと、彼はゆっくり近づいてきてベッドに腰かけた。




「俺の手、握れる?」



あの時の情景が思い出された。



「うん」


「じゃぁ抱きしめていいか?」


「うん・・・・っ・・・・」



一つ一つ確認して優しくあたしを抱きしめてくれる雅に目からは涙があふれた。




「大丈夫。玖美が俺を想ってくれてること信じてるから。ま、俺の方が想いは強いと思うけどね」



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