狼ゴコロは愛のイロ
背中をゆっくり撫でてくれる雅の手に安心感が宿る。
「違う。あたしの方が雅のこと愛してる」
「ハハ、嬉しいこと言ってくれるね」
小さく笑うあなたが愛しい。
この手はあたしを脅かす厭らしい手じゃない。
あたしに安心感を与えてくれる幸せの手。
「昔のことを思い出させてごめん。辛かったな」
「ううん。お義兄さんが言うように、もしまたあの人の企みなら立ち向かわないといけないもの」
「・・・・・・・・恐くないか?」
正直恐いよ。
思い出すだけで、息が苦しくなる。
不安に駆られて震えてくる。
でも・・・・・・・
「今は、雅がいてくれるから。大丈夫。恐くなったらまたこうして抱きしめて?」
「玖美・・・・・強くなったね」
「雅が強くしてくれたんだよ」
「俺が?」
「そう。雅に包まれていると強くなれるの。守ってくれてるのがわかるの。だからあたしは一歩を踏み出せる」
今は、大きなことは言えないけど、守られてるだけじゃなくて、あたしも雅を守りたい。
だから、そのためにもあたしは強くなる。
大切なものを、あたしも守れるように強くなるよ。