狼ゴコロは愛のイロ
┠過去からの襲撃
体に触れる優しい手。
愛を囁きながら落とされる唇。
そして切なく甘美な快感が巡る最後。
カーテンから漏れる朝日で目を覚ましたあたしはひっそりと考える。
初めてのはずなのに、どうしてこんなにも上手なの?
寝ているにも関わらず、なぜかあたしの胸元に顔を埋めて眠っている雅を見て、首を傾げた。
雅の女性関係は皆無だった。
でもそれを思わせないキスと愛の行い。
キスは話を聞いたし、目の前でやってみせてくれたわ。
幼い頃、叔母さまに出されたという“さくらんぼの茎に結び目を作る”課題は、本当だったらしくて、ものの数秒でやってのけた。
だけど、キス以上の行為はあたしが初めてでしょう?
雅は、いつもいっぱいいっぱいだと言うけど、今までの彼氏でも、ここまで満たされなかった。
彼は、嬉しいとそれはそれはすごく喜んでくれたけど・・・
「まさか、どこかで練習したなんてことないわよね?」
その瞬間、頭のなかで美女と妖しげに淫らに絡み合う雅の姿が目に浮かんだ。