狼ゴコロは愛のイロ
でも、それはまだまだ始まりにすぎなかったと、休日が開けてから気付いた。
「――あ・・・そうですか。いえ、突然のお電話で大変申し訳ございませんでした」
「ねぇねぇ、どっだったの?やっぱり、あの秘書の人?だって玖美ちゃんに見惚れてたもんねぇ」
今朝、会社に出勤してすぐあたしのもとに大きな花束が届けられた。
差出人は、仕事でお付き合いのある会社。
その会社名を見たのどかが、社長秘書の方じゃないかと言うから連絡してみたんだけど、空振りだった。
「違うって。そんなキザな贈り物は出来ません、だって」
「まぁ、硬派なイメージだったしねぇ。でも、そしたらこれは誰から?」
のどかだけじゃなく、他の同僚も集まって不審そうに花束を見つめる。
・・・・・・・もしかして。
脳裏にかする、土曜日に贈られてきたもの。
「まさか・・・また・・・・・」
あたしは携帯を取ると、急いでフロアを飛び出した。
「え?玖美ちゃん?」
後ろから聞こえるのどかの声と、密かにこっちを見ていた人影に気付きもしないで。