狼ゴコロは愛のイロ
ガチャッ
「え、大丈夫?玖美ちゃん」
床にヘタリこんでいるあたしに慌ててかけよるのどか。
「のどかが来てくれたから、もう大丈夫。ありがとう」
「ううん。それより、ひどい汗だよ!一体何があったの?」
ふいに額から流れる汗に気付いた。
のどかには話した方がいいかもしれない。
「・・・実は、1週間以上前からストーキングされてるみたいなの」
「え、嘘・・・また?犯人は?分かってるの?」
「手がかりは佐藤って男ってことしか・・・」
「佐藤って・・・社内だけでも何人もいるよ」
「うん。ただ、思いたくないけどあたしの身近な佐藤さんて清掃員の佐藤さんしか・・・」
「佐藤吾朗さん?犯人の下の名前までは知らないの?」
「・・・雅に聞けばわかると思う」
帰ってから確かめてみよう。
ブ―――ブ―――
突然携帯のバイブが鳴った。
相手は同じフロアで働く同僚。
「はい、もしもし」
「あ、玖美さん?入り口に、旦那さまがお見えになってるそうよ」
え、雅が?