狼ゴコロは愛のイロ
随分、俺に玖美を取られたのが気に食わないらしい。
確かに、男の俺が見ても彼の顔は整っている。
今まで狙った女性は皆、ものにしてきたんだろう。
だが、玖美に選ばれたのは俺だ。
「あなたはライオンのようですね。自分はどんな女性にも受け入れられると思っている、そのため今まで何人もの女性と恋をしてきたんでしょう」
「フン、そうだ。君は女性関係は乏しいとも聞いた。経験値が違うんだ。女性の楽しませ方も、悦ばせ方も」
「えぇ、狼は一夫一妻制で生涯愛すのはただ一匹。でも玖美はそんな俺を選んでくれた。ですから、女性に見境のないライオンのままでは、いつまで待っても時間の無駄ですよ」
20cm近い身長差は、言葉の迫力も倍にする。
彼の瞳には、さっきまでの威勢はなくなった。
だが、プライドが許さないらしく俺を睨みつけてくる。
「それから訂正しておきます。俺は玖美を召使と考えたことはない。彼女のためなら俺は命だって惜しくない」