閑中八策
 かつての日本企業は、その時点では「そんな事できるはずがない」と誰もが思う物を開発して世界を驚かせてきた。
 ソニーのウォークマンなどがいい例で、現在はアップルのiPodなどに主役の座を譲ったが、そのコンセプトを世界で最初に作ったのは日本であった。

 先行した欧米企業が失敗した事例を再挑戦して成功させたのが任天堂の家庭用テレビゲーム機。
 世界第1号は米国の「アタリ」という会社だったのだが、ソフトウェアメーカーの製品の品質管理に失敗して一度市場が崩壊した。

 よその会社が作るゲームソフトの品質を徹底的に管理するという難問に挑戦して成功したのが任天堂の初代ファミコンであった。
 これによってゲームセンターにしか無かったゲームを家庭で、という「できるはずがない」事が可能になった。

 製造業に限らず、今の日本企業は「今できるはずがない」事を「じゃあ、やめておこう」という思考パターンに陥っているのではないか?
 今現在は夢でしかない事をいかにして実現するか?
 この原点に立ち返る事ができれば、メイド・イン・ジャパンの復権はまだまだ可能だと信じたい。
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