閑中八策
ミャンマーは長らく軍事独裁国家として知られ、日本人にはイメージが悪かったが、アウン・サン・スー・チー女史が自宅軟禁を解かれた頃から情勢が一変している。
民主化自体はまだ緒に就いたばかりなのだが、労働集約型産業に適した条件はこうである。

まず人口がそこそこ多い事。約6千万人。
しかも若年人口比率が高い。日本の1950年代から60年代に近い状況だ。
また長らく軍政下にあった割には教育が普及していて、国民の識字率は高い。
そして辺境地帯以外は治安が非常にいい。

ただ日本企業にとって最大の難関は言葉の壁である。
多数派であるビルマ民族が話すビルマ語は日本では学習する機会がほとんどない。
一方、ミャンマーに限らず東南アジアの若者の間では日本語の習得熱はかなり高い。
しかし気楽に通える外国語学校がなく、あっても現地の庶民の若者には金銭面で無理がある。

ならば日本の政府と企業が協力してミャンマーで日本語学習ができる機会、施設を作ればいい。
労働集約型の企業で雇うのは比較的低学歴の人だから、ミャンマー人に英語を話してもらう事は期待しにくい。
現地へ言った日本人社員が英語が苦手なら何にもならない。

ミャンマー都市部で、現地の庶民でも少し無理すれば日本語を習える場所があれば、かなりの若者が通う可能性がある。
今後日本企業のミャンマー進出が続けば、就職に直結するから日本語習得熱はさらに高まるはずだ。
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