閑中八策
 スウェーデン型の国は、統治機構の面では「大きな政府」型の国と呼ぶ。
 政府が巨額の税収を管理し、手厚い福祉を提供するには公務員、公的機関の被雇用者の割合も日本よりすっと高いからだ。

 政治理念としては、こういう高福祉高負担の国を「社会民主主義」と呼ぶ。
 資本主義経済ではあるが、かつての社会主義の公的扶助を大幅に取り入れているからだ。

 民主党の子供手当、最低保障年金、高校無償化などの政策は明らかにスウェーデンをお手本にしている。
 だから国民の半数以上がスウェーデン型の国に日本が成る事を望んでいるという調査結果と、民主党が政権についている現状はその点では合致している。

 しかしだったらなぜ、橋下氏と彼が率いる維新の会があれほど人気なのか?この点は説明がつかない。

 橋下氏がこれまで主張、公言してきた政策を見ると、彼の目指す日本の将来ビジョンは明らかにスウェーデン型とは180度逆である。
 公的年金だけ見ても、世代間扶助である現在の方式を廃止して本人の積み立て型への移行を主張しているし、金持ちは公的年金をもらえない「掛け捨て型年金制度」などを提案している。

 大阪の教育改革にしても、教職員の労働強化と競争原理の導入を主張しているわけだから、社会民主主義とは対極にある。
 橋下氏がそうなら全国区になった時の維新の会の政策も同様と考えるのが自然だ。
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