閑中八策
 橋下氏の政治家としてのスタンスは、明らかに小さな政府志向であり、お手本にする国としてはスウェーデン型の対極にあるアメリカ型である。
 経済政策としては新自由主義者で首相時代の小泉純一郎氏に近い。
 当然、がんばらなかった人が貧乏になるという意味での格差は容認する立場のはずだ。

 国民の過半数が未来の日本として、スウェーデン型、大きな政府、社会民主主義を望んでいるのに、その正反対のアメリカ型、小さな政府、新自由主義志向の橋下氏と彼が率いる政党がこんなに人気が高い。
 この二つの現象が同時に起きている、というのは矛盾しているとしか言いようがないと思うのだが?

 それが国民の過半数の民意の結果として、日本がスウェーデン型の国家になるというのなら、それはそれで悪いとは言わない。
 だが上記のような矛盾が起きるのは、国民の多くがこう勘違いしているせいではないか?

「スウェーデンは国家が丸抱えで生活の面倒を見てくれるので、がんばらなくても豊かな生活、人生が送れる国だ。だからスウェーデンみたいになりたい」
 もしこうだとしたら、とんでもない勘違いである。

 社会民主主義はあくまで資本主義の一形態であって、社会主義ではない。高福祉高負担とは、競争の無い、楽して食っていける社会ではない。
 スウェーデンは経済の面では失業の可能性が日本よりずっと高い競争社会であり、十代後半の学生と現役労働者には、相当に「がんばる」事を強いる国だ。
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