恋時雨


「は?」

「気安く触るな。」

一瞬にして、張りつめた空気になった。
皆が智輝と筑路を見ている。

「あのな、人の良心をお前は踏みつぶすのか?」

「別に、自分で行ける」

「……帰れ、帰れ!お前が居ると空気が濁る」

「智輝!」

筑路は智輝を睨みつけ、部屋を出てった。

「結威、行かなくて良い。」

「―――っ」

今、行かなくて如何する?
確かに悪いのは筑路だ。
けど、空気が濁るとか言われて傷つかない奴は居ない。

「智輝、結威、歌おっか……?」

勇気を振り絞って、小さな声で問いかけてきた仕切ってた女子。
けど、今はそれどころじゃない。

「悪ィ、行くわ」

何故か判らない、ただ今行かなくちゃいけないと思った。


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