恋時雨
「高倉ってさ……モテるでしょ」
「はあ!?ンな訳……っ!」
「あー、図星かあ」
顔も良いし、頭良いし、スポーツ万能だし……
そんな三拍子揃った彼がモテ無い訳がない。
「好きな人とか居るの?」
「……居るよ、それ位」
「え!?誰、教えて!」
「誰が言うか、バーカ」
その言葉から、盛り上がっていた会話が一気に途切れた。
ただ、冷たい風が私たちの間を通り過ぎるだけだった……
「わ、私……高倉の事、好き…だよ。」
え……?
いや、いやいやいや!!!
今、私何て……
思っても居ないことがポロっと口から零れ落ちた。
勿論、高倉は目を見開き此方を見ていた。
「ご、ごめん……」
「俺も……」
「え?」
「俺も、“水咲”の事、好きだよ。俺と、付き合ってよ」
意味の判らない言葉が耳の穴に入って来る。
高倉が私の事が好き?……嘘。
でも、嬉しかった。素直に…ね。
私は、その言葉に頷いた。