恋時雨


「だ、そうだけど……君は?」

翔斗と呼ばれた男は、俺に問いかけてきた。
俺は、ムシャクシャしていて。
二股掛けられていた事に苛々して……。

「友達?こんなヤツ、友達でも何でもないッスよ」

「そ?じゃあ、俺が預かるよ」

そう、男が言うと、増渕の手首を掴んで歩いて行ってしまった。
増渕は振り返り、悲しそうな顔をしていた。
そして、その顔は助けて欲しそうにも見えた。
けど、俺はその背中をボーッと見ている事しか出来なかった。

――――――――――――

「だから、言ったろ?アイツ、男居るんだって」

「……」

「アイツと話したのか?」

「いや……ずっと無視ってた」

「ちゃんとケリ付けてこいよ」

そう言って智輝は俺の肩を叩いて、教室に戻って行った。

ケリ、か……。
そうだな、如何して俺と付き合ったのかも訊きたいし。

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