恋時雨
「ショウちゃん!」
「……カケル。」
「まあ、どっちでも良いけどさ」
「よかねーよ。お前は人の名前を如何でも良いってのか?」
中学2年の春。
ショウちゃんに出会ったあの日から1年が経つ。
また、季節が流れる早さを感じさせられる。
「水咲、お前彼氏の名前くらいちゃんと呼べよ」
「ショウちゃんはショウちゃんだもん」
「でも、俺はカケルちゃんなの」
今年も高倉グループ御曹司の権力ってモノで、同じクラス隣の席になれた私たち。
今年の担任はゴリラみたいな強面の人。
けど、教師の中で誰よりも優しいと有名な立松先生。
「えー、今日は転入生を紹介します。高槻ソノ子さんだ」
「高槻……」
転入生を紹介している時、ショウちゃんが小さな声で彼女の苗字を呟いた。
「ショウちゃん?」
「んーん、何でもない」
少し、困ったような顔で笑った。
何か、胸がざわざわした。ソノ子さん、とても綺麗な大人っぽい女の子。
私と、真逆な―――