恋時雨
ソノ子ちゃんはあっという間に人気者になっていた。
「ねえ、ショウちゃん……如何したらソノ子ちゃんみたいに背が高くて綺麗になれると思う?」
「遺伝子」
「だよねえ……」
「でも、俺はお前みたいなちっちゃくて可愛い顔の奴の方が好き」
その言葉に真っ赤になったのが自分でも判った。
「か、可愛くなんか……」
「お前、自分がどの位モテてんのか判ってんの?」
「モテないよ!全然……」
そんな風な話を真っ赤になりながら話していると、ソノ子ちゃんが此方に来た。
「ソノも話に入っても良い?」
「うん!」
「……」
私はソノ子ちゃんと話せるのが嬉しくて、笑顔で返事をしたけど、ショウちゃんは冴えない顔で顔を背けた。
「ショウちゃん?」
「俺、トイレ行って来る。2人で話してて」
「うん、いってらっしゃい」
「いってきます」
ショウちゃんが教室から出たのを確認し、ソノ子ちゃん方を見た。
「私、筑路水咲っていうんだ。水咲って呼んで!」
「じゃあ、水咲。貴方、翔さんと付き合ってるの?」
「ま、まあ……」
そう答えるとソノ子ちゃんは思いっきり私を睨みつけて……
「負けない」
と言って、女の子たちの輪の中に行ってしまった。