恋時雨
ソノ子ちゃんが転入してから1週間くらい経ったある日。
「水咲、今日は一緒に帰れない……」
「え?なんで」
「ごめん」
ショウちゃんがあまりにも申し訳なさそうに言うから頷くしかなかった。
―――その時……
「翔さん、帰りましょう」
「ソノ子……」
え……?
何?―――私たち付き合ってるんじゃ無かったの?
“ソノ子”って……?
如何して、ソノ子ちゃんと帰るの?
「そっ……か。私、邪魔何だね……」
「違っ……、水咲!」
「良いよ、ソノ子ちゃんと一緒に帰って?」
私は、走って教室から出た。
あのままずっと教室に居たら、泣き出してしまいそうだった。
ショウちゃん―――痛いよ。
「あれ?水咲。翔君と帰らないの?……って、泣いてんじゃん!」
「ゆかぴょん……痛い、よお」
下校途中。塾に向かっていたクラスメートの新井優花ちゃんに会った。
ゆかぴょんに事情を説明すると、驚いたように私に問いかけた。
「水咲、あんた知らないの?」
「え?何を」
「ソノ子は翔君の―――婚約者、よ。」