恋時雨


―――現在―――

高校3年生になる。
クラス替え。普通の奴なら『仲良い子と同じクラスになれるかな?』
とか、浮かれてるが、友達がいない私にとっては如何でも良い事だ。

『3年2組』
それが私の新しいクラス。
自分の名前だけ見つけると、たったと教室に向かう。
余計な人の名前を見つけるだなんてただの時間の無駄だ。
『好きな人の名前を見つける』―――?
バカげた話だ。
そんなのただのストーカーだろ。

教室に入ると、やはり誰も居なかった。
出席番号順に並んでいる机。その中から自分の席を見つけると荷物を置き、座った。
入学式までまだ時間が有る。

「……暇。」

読書でもしてようか……?
そう思い、本を取ろうとカバンを開いたときだった。

―――ガラッ……

「あれ?結構早く来たと思ったのに……もう居たんだ」

見たことある顔。
名前は知らないけど……。
多分、同じクラスになった男子だろう。

私は気にせず、動作の続きをした。

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