蒼い唄
何なんだー?


さっきの男はー?


あたしの髪を触るなんていい度胸してるじゃんー


いかにも俺様はモテるぞ~オーラ


女を嘗めるんじゃないよ!!


さっきの男…なんて名前だっけな~

佐藤?

違うな…

…佐伯?

確かこんな名前だった

あたしと同じくいい噂は聞かない奴だ


あんまり関わりたくない奴だ


そう思いながらあたしはいつものようにピアノ教室に行った


いつも通りに弾き

先生もいつも通りの反応をする


そしていつも通りではないのは


「美波ちゃん!!とってもいいニュースがあるわよ~」


『えっ!!ニュース?』

先生がニコニコしながら私の両手を持ち上げて握った


「今度のね~コンクールで優勝すればパリの音大の推薦が貰えるのよ~この前のコンクールに、向こうの音大の偉い先生が来ていらして、美波ちゃんのことすごく気に入ったみたいなのよ~」


『はい…そうですか』

パリの音大かー

確かにすっごく興味がある…

いずれは向こうに行こうと思っていた


嬉しいけど不安もある…


「あら…美波ちゃん嬉しくないの?」


あたしは首を横にふり

『いえ…とても嬉しいです』


「じゃあ~今以上に頑張らないとね~」

先生はすっごく張り切ってるようだ


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