バカな私は嘘つきで。
4校時が終わり、今は昼休み。
「たまごやき、甘いかなぁ♪」
ほんとに楽しみだったんだね。と私が言うと、元気よく頷く莉子。
男子が好きになる理由分かるわ。可愛いもん。
……まぁ、好きって何か分かりません。嘘だけど。
「笹原先輩だ」「やばい。めっちゃかっこいい」「好き好き! きゃぁ」
廊下から、女子達の声が聞こえる。
「なんらろうえ」と莉子。
口に入れたまま喋っているので、聞き取りにくいけど、多分「なんだろうね」だと思う。
「笹原先輩って言ってたと思う……そんな人いたっけ?」
私には初めて聞いた名前だった。
「ぅーん。確か、クラスに7、8人は笹原先輩のファンがいるって噂聞いたことある。モテる人はしゅおいね」
十分、君もモテてるよ。と心の中で突っ込む。ついでに、話す時は食べない。と重ねて突っ込む。
「ま、私には関係ないや。ねぇ、莉子?」
「ごちそうさまっ!」
私の話なんぞ、聞いてはいなかった。