王子様のみつけ方
あぁ、もう。岬のお陰で朝から気分最悪だよ。
学校の門をくぐり、靴を履き替える。
でも今日は雅哉くんと放課後映画観に行くから、特別に許そう。
「ねえ雅哉くん、映画」
「あ、莉乃、そのことなんだけど…」
慌てた様子で雅哉くんがわたしの言葉を遮る。
「映画、行けなくなった。ごめん」
一瞬わたしから気まずそうに目を逸らし、もう一度わたしを見つめて申し訳なさそうに言う。
「そっ、か…大丈夫だよ!じゃあまた今度だね」
無理に笑顔を作って見せる。
ずるい。そんな顔で言われたらそう言うしかないじゃない。
「本当、ごめんな」
もう一度わたしに謝ると、雅哉くんは自分の席へと向かった。