舞い散る記憶
二人でやっているとあっという間に洗い終わった。
「これで良いだろう?早く行こう。」
私は、ニッコリと微笑み首を縦に振った。
外に出ると桜の花が待っていた。
本当に綺麗…………。
「まるで、雪みたい………。」
私が手を広げると手のひらに桜の花びらが舞い落ちた。
「小さい子供みたいだな。」
私は、目だけを慧ちゃんに向けた。
「だってこのピンクの桜舞い落ちてると雪みたいに綺麗なんだもの。」
そう言って私は、まだ舞っている桜に視線を戻した。
グイ
「キャッ!」
私は、いきなり後ろから引っ張られ慧ちゃんの胸の中へと収まった。
「けっ!慧ちゃん?!」
「バカ!早く行かないと遅刻だ。」
そう言ってズルズルと慧ちゃんは私を引っ張る。
「まだ時間があります!」
そう言っても慧ちゃんは、手を離してくれなかった。
そのまま私達は、学校への道を急いだ。
学校に近付くにつれて生徒の姿が増えてくる。
「あのね?慧ちゃん…………。」
「何だよ。」
慧ちゃんは、視線だけを私に移した。
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