舞い散る記憶
私は、そう言って立ち上がろうとした。
だがそれは叶わなかった。
ぐい
「キャッ!」
私は、腕を引っ張られていたのでベッドに座り込んでしまった。
「何先に行こうとしてんだよ、熱計ってないだろ。」
「慧ちゃん!」
私の声にも気にせず慧ちゃんの顔が近付いてきた。
「だ、大丈夫だよ!心配しなくても元気だから。」
私は、手を振って止めようとした。
それじゃあなくてもドキドキして止まらないんだもん。
「駄目だ、嘘の時もあるだろ。」
そう言って私の額に自らのそれをくっつけた。
一瞬暗くなるが直ぐにそれは、無くなる。
「うん、今日は大丈夫みたいだな。」
そういって少しだけ私から離れる。
少し名残惜しいけどこれ以上はドキドキしすぎて胸が苦しくなるんだもん。
「ねぇ、毎朝こんなことしなくても良いよう。」
「駄目だ、お前は直ぐに無理するからな
体温計だと誤魔化すし。」
うっ!確かに。
私は、言い返す事が出来ないでいた。
「昼はどこで食べる?」
いきなりそんな事を言ったのでびっくりして慧ちゃんを見た。
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