隣人は高校教師


人を巻き込むのはやめて欲しい!
絶対かっこいいからって調子乗ってる!

その日の夜も微かに聞こえてくるベッドの軋む音に耳を塞ぐ。

最低…
さすがに言った方がいいのでは?
でもなんて言えば?

彼は嫌じゃないのかな?
隣に聞こえてるかもとは思わないのかな?

明日注意しようと決めて、眠りについた。

そして朝、気だるい体に楽な服を着て彼を待った。
しかし、いくら待っても出て来ないのでチャイムを鳴らした。

出かけてるのかな?土曜日だし…

そんな事を考えていると、ガチャ、と扉が開いた。

中から出てきた彼は、綺麗な顔は健在だが、疲れた顔とボサボサの頭だった。

…え。

思わず、どうしたんですか?と聞いてしまった。

「…舞ちゃん?いいとこに来た。
お願いなんだけど、ポカリある?」

「ポカリですか?」

こくん、と頷く彼の様子に熱があるのだと悟った。

「待っててください、今持ってくるので」

ダッシュで家の冷蔵庫からポカリを持って来て、玄関でうな垂れている彼に渡した。

「家に誰もいないんですか?」

いない、と小さく答えた彼に思わず、昨日の彼女は?と聞いてしまった。

「知らない、帰ったんだろ。」

しんどそうに眉をひそめながら答えた。

…知らないって…

「悪い、ちょっと視界が揺れて歩けないんだよね。
ベッドまで誘導してくれない?」

絶対嫌。だけど病人ほっておけないし、仕方なく肩を貸して彼の部屋に入った。



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